「なぜ?」と聞かれたらこう答える!“賢い子”を育てる【食育】Q&A
子どもって質問してくることが多いですよね。
そこで、「食育」が気になりながらもなかなか実践が難しいお母さんやお父さんに、食育イントラクターの資格を持つ筆者が、お子さんからの「食」にまつわる質問にどう答えればよいのかという例をお伝えします。
もちろん、質問されなくても、お子さんとの会話に使っていただければ幸いです!
目次
【Q1】なぜ、「いただきます」「ごちそうさま」を言うの?
◆「いただきます」は、私たちが生きていくために命をくれた動物や植物、手間をかけてくれた方々に対しての感謝の気持ちを表す言葉です。
◆「ごちそうさま」は、命を“ごちそう”になったことと、“ごちそう”を食べられたことへの感謝の言葉です。
私たちがいただいているのは、自然の恵みや動物・植物など。それらの命を人間が採取したり捕獲したりしていますよね。
私たちが生きていくには当たり前のことであっても、命をいただくことに「ありがとう」の気持ちを持つことは大切です。
また、食材を加工する人や運ぶ人、お店で売る人もいます。そして、食材を買って調理してくれる家族も。
そんなことを想像できて、色んな人や物事に感謝の気持ちを持てるように子どもを育てていきたいですよね。
「いただきます」と「ごちそうさま」の挨拶は日本ならでは。大切にしたい文化です。
【Q2】なぜ、朝ご飯をとることは大切なの?
◆朝ご飯を食べることで、栄養不足だった脳に栄養が届き、身体が目覚めます。生活リズムもよくなり、心も身体も健康に近づきます。
農林水産省の報告によると、中学生を対象とした研究で、朝食を食べる児童はそうでない人と比べて学力が高いことがわかっています。
また、小学生~成人を対象とした研究によると、朝食を毎日食べる人はそうでない人と比べて体力測定の結果がよいことも報告されています。
毎日朝ご飯を食べましょう!
【Q3】なぜ、食事中はテレビを消さないといけないの?
食事の際にテレビをつけてしまうと五感からの刺激がなくなってしまいます。食べ物の味が感じにくい子ども、つまり味覚の鈍い人にはなってほしくはありませんよね。
また、集中して食べることで集中力が身につくというメリットもあります。
◆家族などと会話をしながら食事をすることで、コミュニケーションをとる練習にもなります。
食事の時間は、家族でその日のことを共有したり、親が子どもの悩みや想いを聞くことができる貴重なひとときです。
そして、子どもの頃から食事中にコミュニケーションをとることは、他人とのコミュニケーション能力を高めることにもつながり、将来きっと役立つはず。
でも、食事中にテレビをつけてしまうとついつい意識がテレビに向かいがちに…。
テレビを通して家族の会話が広がる場合もあるので絶対にダメとは言い切れませんが、食事中はできるだけテレビを消すようにしたいものです。
【Q4】なぜ、食事のマナーを守らないといけないの?
◆マナーとは、人を不快にさせないためのもの。周りの人と心地よく暮らすために自分から守っていきましょう。
世の中には様々な価値観や考えを持つ人がいます。そこでマナーが生まれました。
マナーを守ることで、自分自身も周りの人たちも心地よく暮らせるようになるでしょう。
【食事のマナー例】
- 食べ物に感謝する(「いただきます」や「ごちそうさま」を言う)
- 背筋を伸ばして姿勢よく食事をする(猫背・肘をついて食べる・犬食いなどは避ける
- お箸を正しく使う(迷い箸・差し箸・寄せ箸などは避ける)
- 周りを気づかう(くちゃくちゃ音を立てない、食べ物が口に入っている時はしゃべらない など)
とは言え、「子どもにマナーをちゃんと教えないと!」と考えるとしんどくなってしまいますよね…。
でも、“子は親の背中を見て育つ”と言うように、親御さんが正しい食事マナーを実践できていれば、お子さんもその姿を見て育つはず。
ですので、基本的な食事マナーに自信がないお母さんやお父さんは、まずはご自身からマナーを見直してみてはいかがでしょうか。
そして、親子一緒に正しいマナーを実践していく。お子さんが周りの皆さんと楽しい人生を歩めるような基礎を作っていきましょう。
【Q5】なぜ、好き嫌いしちゃいけないの?
◆好きなものばかり食べていると、必要な栄養をとれないから。
もしかすると、嫌いなものでとれなくなった栄養を他の食材でとることもできるかもしれません。
でも、例えば小学校の給食を考えてみてください。「これが嫌いだから食べない」という場合に、他のおかずでその分の栄養を補完できるでしょうか?
できませんよね。
他にも、好き嫌いをするデメリットはたくさん考えられます。
- 食べ物を無駄にしてしまう
- 嫌いなものを残すことで、他の人を不愉快にさせる可能性がある
- 命をくれた動物や調理してくれた人などに感謝の気持ちを持てなくなる
なお、“食べず嫌い”をしている子ども(時々、大人も!)もたまに見かけます。
以前、保育士さんを取材した際に、子どもがなかなか食べないものがあっても、大人が美味しく食べている姿を見ることで、「食べてみようかな」という気持ちになることが多いと聞きました。
ぜひ、お子さんが色んな食材やメニューに触れる機会を作ってみてくださいね(すべてを手作りせず、テイクアウトや外食を取り入れてもよいと思います)。
【まとめ】親が普段、心がけていきたいことって?
以上のQ&Aを踏まえると、お母さんやお父さんが心がけていきたいことは大きくわけて2つ。
- 親がまず実践する:朝食を食べる、食事のマナーを守る、食事中はテレビを見ない、好き嫌いをしない など
- 多彩な“食”に触れられるようにする:食材やメニューをできるだけ幅広く!
あまり難しく考えすぎずにやってみてくださいね。
【おまけ:クイズ①】「消費期限」と「賞味期限」の違いは?
ここで、皆さんにおまけのクイズです。知っているようで、考えてみるとよくわからないことってありますよね。
まずは消費期限と賞味期限の違い、わかりますか?
◆「消費期限」とは、安全に食べられる期限
◆「賞味期限」とは、美味しく食べられる期限
消費期限は主に食肉やお惣菜、お弁当など品質の劣化が早い食品に表示されます。
食品によって異なりますが、大体は5日以内のことが多いようです。表示をよく確認し、その期限を過ぎたら食べないようにしましょう。
消費期限は缶詰や加工食品、お菓子など品質が比較的長く保たれる食品に表示されます。
消費者庁のウェブサイトでも「期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありません」とされています。
ただし、本来の味や食感が損なわれている可能性もあるので早く使い切りましょう。
なお、これらの期限は未開封の状態で保存方法に表示されている方法で保存した場合のもの。
開封後や保存状態によっては期限前でも品質が劣化していることがありますので注意してください。
【おまけ:クイズ②】「無糖」と「砂糖無添加」の違いは?
◆「無糖」は、その食品100g当たりの糖分含有量が0.5g未満の場合。
◆「砂糖無添加」(砂糖不使用も同じ)は、砂糖は使われていないものの、ブドウ糖や果糖、乳糖が含まれていることも。
無糖でも糖分がゼロというわけではないのです。
他にも紛らわしい表示があるので幾つか紹介しておきます。
◆「糖分控えめ」「低糖」「糖分軽め」は、その食品100g当たりの糖分含有量が5g以下(飲料は100ml当たり2.5g)の場合。
◆「甘さ控えめ」は、栄養成分と関係なくなく、商品の味に過ぎません。
◆「低塩」は、食品100g当たりのナトリウム含有量が120ml以下の場合。
◆「減塩」は、従来品などと比較したナトリウムの低減量(または割合)を記載したもの。
◆「うす塩」は、ナトリウム含有量とは関係なく、商品の味の表現に過ぎません。
表示に惑わされすぎずに食品を選んでいきたいですね。
「食」で迷ったら?未来を生きる子どもたちのことを考えてみましょう。
最後にちょこっとだけアドバイスを。
子育ては毎日、“迷い”の連続ですよね。ついついネットで調べがちですが、情報が多すぎて余計にわからなくなることもしばしば…。
そこで、お子さんの「食」についてもし迷うことがあれば、“未来を生きる子どものため”ということをベースに考えてみてはいかがでしょうか。
食事のマナーを教えるのは大変だと思います。また、食品や食材を選ぶ時にどこまでこだわるかも、一人ひとりの判断によるものです。
毎日使うものだからこそ割安なものを選ぶことも大切な一方で、数十円や数百円の差で“身体に良さそうなもの”を選べることもあります。
ですので、例えば頻繁に買っている食品について今一度見直してみるのもいいですよね。また、身体によい旬の食材を選ぶのもおすすめです。
食べることは生きること。
親子ともに無理しすぎず、食べる力、そして生きる力を身につけられますように。