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フェムテックのすすめ

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「フェムテック」という言葉を耳にすることが近年増えてきた方も多いのではないでしょうか?
「フェムテック」とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけ合わせて生まれた造語で、主に女性特有の健康課題を解消するために産まれる製品やサービスのことを指します。

2012年にデンマーク人の女性が生理周期管理アプリ「Clue」を開発し、資金調達に成功したことから「フェムテック」という言葉が認知されるようになったのが始まりとされています。

今となっては、世日本でも雑誌やメディアなどで目にする機会も多いことと思います。

たとえば、海外のスタートアップでは生理痛の改善や月経周期の予測、妊娠中のQOL向上、不妊対策、更年期障害の改善、セクシャルヘルス(セックストイなど)、女性特有の病気などのケアが取り組まれています。
日本でも生理予測・妊娠サポートをするアプリ「ルナルナ」は、実はフェムテックに当てはまります。
その一方で、デジタルなテクノロジーではない製品は「フェムケア」と呼ばれています。

アメリカのリサーチファームFrost&Sullivanの2018年の調査によると、フェムテックは2025年までに5兆円規模の市場になると予測されており、いま注目の分野です。

ただ、フェムテック領域での事業は今後成長が期待されているものの、社会での正しい知識が広まりにくい領域であるのも事実です。

そんな、今後の世界を牽引するような流れである「フェムテック」を紐解いていきましょう。

目次

なぜ「フェテック」が、今注目されているのか?

フェムテックは、女性の健康問題、いわば世界の全人口の約半分の健康問題に取り組むテクノロジーです。盛り上がりの背景には、SDGsの推進や現代のさまざまな理由があります。

フェムテックによるジェンダー平等意識の向上

女性の社会進出

少子高齢化により働き手として女性の社会進出も進む中で、女性経営者と女性技術者の台頭もあり、女性が生き生きと働ける環境づくりが不可欠になってきたことも背景にあると言えます。

女性人権意識の高まり

SDGsにおける女性活躍のアジェンダや、2017年に巻き起こった「#MeToo」といった世界的ムーブメントなど、変化する社会における女性のニーズや立場を社会構造として取り組んでいく必要があると感じる人が増えており、それを解決しようと動き出している人も多いです。

女性が声をあげやすい社会へ

まず、フェムテックは、これまでタブー視されてきた女性の「性」の課題に真っ向から取り組み、解決してくれるものだということが大きな理由の一つです。
生理の話やセックスの話など、多くの人が悩みを抱えているにも関わらず、なんとなく他人には話しづらい女性特有の悩みや問題が、近年は少しずつではありますが、社会で共有されるようにってきた社会となりました。
それをさらに「個人差があるから仕方ない」で片付けるのではなくいろんな角度から「解決しよう」としてくれるビジネスは、このような悩みを抱える女性にとっては救いとなります。

依然として経済・政治分野でのジェンダーの不平等はあるものの、より女性の意図や女性特有の悩みが汲み取られやすい社会へ変革している時です。

テクノロジーによる変革

テクノロジーの進歩により、生理や更年期など女性が抱えていた悩みをデータ化し、可視化されたことによる解決策を提供しやすくなったことも、フェムテックの追い風となっています。

女性の健康問題に限らず、Fintech(金融×テクノロジー)やHRtech(人事×テクノロジー)など、さまざまな社会課題を解決するテクノロジーが、より正確な情報から、より効率的で根本的な解決策を導き出してくれます。

人間の誰しもが気にする「健康」に光を当て、女性特有の悩みをデータ化してより適切な治療法を提案するフェムテックが今、注目されるのも納得といえるでしょう。

「フェムテック」ビジネスにおけるチャンス

この「フェムテック」ビジネスは女性の消費性向が高い傾向にあります。
マーケティング領域では、女性の方が男性よりも消費意欲が旺盛だと、昔から言われています。例えば、F1層と呼ばれる20~34歳の女性層では、独身で自由に使えるお金をたくさん持つ消費意欲が旺盛な層として、昔から様々なビジネスにターゲットとされてきました。

一般的に、男性と比べて女性のほうがより消費に積極的で、女性を対象にした商品・サービスの需要があると長年思われています。

働く女性の増加によって女性の可処分所得が増加している
働く女性が増えることで収入が得られ、家庭にまわす部分もありますが、女性自身の可処分所得の増加は確実です。

消費意欲が旺盛で、しかも手元に可処分所得が増えているターゲットを対象に、その困りごと、悩みを解決する商品サービスを提供できれば、ビジネスチャンスが大いにあるでしょう。

市場としての価値が近年急激に注目され始め、参入を急ぐ企業が増えてきているのが現状です。

フェムテックを政府が推進

このような世界情勢を見た政府が、企業のサポートがスタートしています。

2021年6月、経済産業省から、令和3年度「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」活動を行い、フェムテック等を活用し、働く女性の健康課題等を解消するためのサポートサービスを提供する実証事業を行う事業者(間接補助事業者)に補助金を出すことを行っています。

【フェムテックを活用して、働く女性の健康をサポートし就業継続を支える実証事業者を採択しました!|経済産業省 】
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210628007/20210628007.html

そして、20個の事業に補助金が出ることが決定しています。
https://www.pwc.com/jp/ja/news-room/femtech-public-offer210628.html

ビジネスチャンスがあり、社会課題解決に繋がるやり甲斐もあり、さらに政府の支援もある、これで、フェムテックが盛り上がりを見せ、フェムテック関連スタートアップ企業が続出していることも納得できるかと思います。

フェムテックの事例

では、具体的にどのようなフェムテックの分野であるビジネスが行われているのでしょうか?

海外企業・スタートアップの事例

「Clue」
生理と排卵のトラッキングアプリ。けいれん、肌、髪の毛、睡眠などの30以上のオプションから健康状態の分析をおこないます。月間アクティブユーザー数は12億人に上り、ピンク色を使わず、洗練されたデザインが魅力のひとつです。

・Clueサイト
https://helloclue.com

・Clue Instagram

 

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「Cora」
月経周期、月経量に合わせてカスタマイズし、毎月生理用品を送ってくれるCoraもフェムテックの1つです。オーガニックコットンや綿花農家とのフェアトレードにもこだわっています。また、「女性らしさ」を強調するピンクのパッケージではなく、白と黒でデザインされているところも特徴です。

・Cora
https://cora.life

「willow」
従来の搾乳機にある長いチューブやコード、ボトルが付随しないウェアラブルな搾乳機。どこで何をしていても搾乳がおこなえるのが特徴で、仕事をしながら利用されいている方も多いようです。

・willow
https://onewillow.com

「Elvie」
妊娠、出産を機に筋力が衰えやすいという骨盤底筋。骨盤底筋を絞める力が衰えると尿漏れや頻尿の原因にもなるといいます。この骨盤底筋を鍛えるテクノロジーとして、Elvieが誕生しました。小さなキットを膣内に挿入しておくとアプリと連動して骨盤底筋を絞めるトレーニングができます。

Elvie Instagram

 

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日本企業・スタートアップの事例

「fermata」
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をビジョンとするfermata。オーガニック生理用ショーツや、生理カップ、セルフプレジャーグッズをオンラインストアで販売するフェムケア・フェムテックのブランドです。

・fermata
https://hellofermata.com

「ルナルナ」
「ルナルナ」は、2000年にスタートし、2021年に累計1700万ダウンロードを突破した国内のフェムテックの草分け的サービス。生理日予測や排卵日予測など女性の身体のリズムに合わせた健康管理ができ、最近では化粧品メーカーとコラボレーションした美容アドバイスのコンテンツなども取り入れています。

・ルナルナ
https://sp.lnln.jp/brand

「KOREDAKE」
「KOREDAKE」は、女性に不足しがちな成分をふんだんに取り入れたプロテイン。2020年に販売開始後、口コミをきっかけに話題に。2020年10月時点での累計販売数が発売開始直後と比較して100倍と急成長し、Instagramでのタグ付け投稿も5,000件を突破したという注目製品です。

・KOREDAKE
https://koredake.co.jp

デジタルネイティブな若者をターゲットに

フェムテックのおもなターゲット層と考えられるのは、妊娠、出産、子育てなどのライフステージがコロコロと変わる20代~40代の女性です。
ただ、女性の身体の悩みというのは、初潮を迎えて急激に身体が変化する10代のときから既に始まるものであり、かつ、近年になって女性の身体と性に関する話題がよりオープンにニュースやSNSなどで取り上げられるようになったことを考えても、今後フェムテックのニーズがより若い層に広がることも十分考えられます。

また、今の若い世代は生まれたときからパソコン、スマホと親和性のあるデジタルネイティブ世代。
いい商品を見つけたときにSNSで共有する人が多いだけに、SNSを活用する若い層を取り込むことで気軽に製品への注目度を高めることが期待できます。
これらのことから、フェムテックのビジネスを展開する際は、10代から20代の若者へのアプローチ方法を常に意識しておくのが必須と言えるでしょう。

フェムテックは未知の可能性を秘めた新たな市場

女性の健康や性と向き合うフェムテックは、まだまだ未知の可能性を秘めている市場です。

女性たちの悩みに実体験から寄り添えるというのは女性起業家としての強みになるのではないでしょうか?

女性たちの声に耳を傾けて細かいニーズを探り、時流に合ったサービス作りを心がけるなど、ポイントを押さえて展開していけば、新規参入の事業者でも成功は十分期待できます。

参入を検討している方は、今回紹介した事例などから挑戦の仕方を考えてみてください。

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