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キャリア女性の妊娠・出産の現実。「高齢出産」と「不妊治療」急増の背景。


キャリア女性が知るべき、「妊娠」の今。「不妊治療」と「高齢出産」増えているのはなぜ?子どもはいつか欲しいけれど、目の前の仕事が忙しくて、具体的なイメージが持てない方も多いのではないでしょうか。

女性の社会進出が進み、ライフスタイルが変化した今、キャリア女性にとって、子どもと仕事の両立は悩ましい問題です。

今回は、近年増えている「不妊治療」と「高齢出産」にクローズアップします。

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目次

妊娠できるのはいつまで?

不妊治療や高齢出産などのワードを耳にする機会が増えています。

背景には結婚年齢が上がり、子どもを望む年齢が高齢化していることに加えて、不妊治療が普及し、検査や治療に対するハードルが低くなったことも影響しています。
実際に、不妊治療を受ける人は増え、その年齢も年々上がっているのです。

最近では、不妊治療を公表する有名人が増えて、メディアなどでも多く取り上げられています。
日本の芸能界でも、元アイドルで実業家の川崎希さんや、プロゴルファーの東尾理子さんなど数多くいらっしゃいます。
42歳での高齢出産をした、滝川クリステルさんも話題となりました。

キャリア優先の海外セレブ達にとっても、出産が遅くなるのは珍しいことではありません。
歌手のマライア・キャリー、女優のアン・ハサウェイなど不妊や高齢出産を乗り越えてママになっているセレブたちがたくさんいます。

同じ悩みを持つものとしては、勇気と希望を与えられますね。

また、世界には最高齢の母として、2019年インドの75歳のヤラマティー・マンガヤマさんが人工授精の末、双子の女児を帝王切開で出産しています。

しかし、多くの人が経験しているからといって、妊娠適齢期や閉経時期は基本的に変わりません。いつまでも妊娠できるわけではなく、女性が妊娠できる年齢は閉経から逆算して10年といわれています。

卵子の数だけで適齢期がきまるわけではありませんが、月経の安定や肉体的な成熟などを総合して考えると、20〜30代前半が出産適齢期といえます。

また、35歳を過ぎての初産は「高齢出産」となり、妊娠率は低下し、流産率は上昇します。男女ともに生殖機能のターニングポイントとなってくる年齢なのです。

不妊治療とは何か?

不妊治療とは“妊娠・出産を希望しているにも関わらず一定期間、妊娠の兆候がないカップルに対して行われる治療”のことです。

体外受精で産まれる子は18人に1人といわれている今、不妊治療はそれほど珍しい医療行為ではなくなっているのです。

女性の年齢が上がるとともに不妊の割合は増加傾向にあり、年令別の不妊の頻度は、20代後半で9%、30代前半で15%、30代後半で30%、40歳以上では60%以上となっています。

参照:厚生労働省|生殖補助医療の現状からみた 特定不妊治療助成のあり方
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000314vv-att/2r98520000031513.pdf

不妊治療は夫婦一緒に

子どもを望む夫婦にとって、自分たちが不妊かどうかは大きな問題です。
自然妊娠でも不妊治療でも、男女ともに年齢が高くなればなるほど妊娠する確率が低くなることがわかっています。

不妊の原因は女性側に問題があると思われがちですが、実は約半数は男性側にも原因があります。
どちらにしても、不妊治療を受ける女性の負担は、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。

そういった意味でも、夫婦一緒に臨むべきなのです。

具体的な不妊の原因

男性側の主な原因としては、
・造精機能障害(精子の数や運動率が少ない)
・性機能障害(勃起や射精に支障がある)
・閉塞性無精子症(精巣内では精子が作られているのに精液中に出てこない)

女性側の原因としては、
・排卵障害
・卵管の閉塞や癒着など
・子宮内部の状況(筋腫や内膜ポリープなど)
・免疫異常(抗精子抗体など)

などが挙げられます。
また、原因不明は全体の10~15%を占めています。

不妊治療の種類

不妊治療では、まず不妊の原因について調べた後、それぞれの原因に応じた治療を行います。
主に①タイミング療法、②人工授精、③体外受精・顕微鏡授精があります。

タイミング療法

「最も妊娠しやすいタイミングに性交渉を行う」方法です。
タイミング療法から治療をスタートし、基礎体温や超音波検査、尿中LH検査などを参考にしながら排卵日を予測し、効果的な性交渉のタイミングをアドバイスします。

もっとも自然な妊娠に近く、男女ともに負担の少ない、不妊治療のファーストステップです。
タイミング療法の1回あたりの妊娠率は約3~5%といわれています。
3~6ヶ月タイミング療法を続けても妊娠しない場合は、不妊治療方法のステップアップを検討します。

人工受精

「排卵時期に合わせて、子宮の入り口から管を入れて精液を子宮内へ直接注入する」方法です。
これも自然な妊娠に近い方法といえます。人工授精の妊娠率は約5~10%ほどです。
4回程度行い妊娠に至らない場合は、体外受精などへのステップアップを考えます。

体外受精・顕微鏡授精

体外受精とは「採取した卵子に洗浄した精子をふりかけ、自然受精をさせる」方法です。
「顕微鏡で拡大視しながら、針で精子を直接注入する」顕微鏡受精もあります。
どちらも、できた受精卵を子宮に戻して着床を促す治療です。
不妊の原因によっては、はじめからこの方法を検討することもあります。

特定不妊治療とは

これらの治療のうち、特に体外受精と顕微授精は自由診療であることに加え、特殊な技術と機器を必要とするため、治療費が高額になりやすいです。そのため、これら体外受精と顕微授精を「特定不妊治療」として、助成金を給付している自治体が多いです。

参照:厚生労働省|不妊治療をめぐる現状
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000314vv-att/2r985200000314yg.pdf

不妊症への支援・制度

2021年(令和3年)1月28日、厚生労働省によって、不妊症への支援拡充が行われました。
2022年(令和4年)4月から不妊治療の保険適用を目指しており、この拡充はそれまでの暫定措置という位置付けです。

参照:厚生労働省|「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の拡充について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000047270.html

体外受精・顕微授精1回につき30万円もらえると経済的にかなり助かります。
ただし、助成金がもらえるのは申請してから数か月後になります。初期費用は準備しておきましょう。
詳細は、ご自身の住んでいる自治体のホームページを参照してください。

卵子凍結

上記の治療に加えもうひとつの選択肢として、卵子凍結などの生殖補助医療による方法も広まってきています。
将来の妊娠に備えて、若いうちに質のいい卵子を凍結保存しておくのです。

卵子は年齢を重ねるとともに老化してしまい、質が低下した卵子では妊娠率が下がります。
卵子凍結はさまざまな事情によって女性が年齢を重ねた時でも、妊娠する確率を少しでも高められる手段として利用されています。

自治体によっては不妊治療費助成制度の対象となる場合があります。

高齢出産について

高齢出産という言葉は耳馴染みがあると思いますが、いったい何歳からが高齢出産になるのでしょうか?

「高齢出産」とは、35歳以上で初めて出産することをいいます。また、40歳以上の経産婦の妊娠を「高齢妊娠」としています。
子宮内膜症や子宮筋腫などの病気は、月経が始まってから年数が経つほど発症のリスクが高まります。

加齢とともに妊娠する力は低下し、流産などのリスクも高くなります。

また赤ちゃんがダウン症などの染色体異常を持って生まれる確率が高くなるとも指摘されています。
そのため、高齢出産・高齢妊娠になる方は、リスクが高い状態であることを自覚することが必要なのです。

しかし、生殖補助医療の技術は年々進歩を遂げており、その技術を使って生まれてくる子どもの数も増えています。
女性が妊娠できる年齢は限られているため、より早い検査と、必要ならば治療を始めた方がよいでしょう。

高齢出産のリスク

20~30代の妊娠・出産に比べると、さまざまな先天的な障害や病気が起こりやすくなります。

  • 妊娠率が低下
  • 胎児の染色体の異常などにより、流産や早産が起こりやすくなる
  • 産道・子宮口硬くなっている帝王切開確率が高く、難産になる恐れがある
  • ダウン症候群など、胎児への先天異常が発生する確率が高くなる
  • 羊水検査や胎児の染色体検査など、妊娠中の諸検査が多くなる
  • 「妊娠中毒」「前置胎盤」「胎盤早期剥離(はくり)」など、母体へのダメージが大きい

また、若い頃よりも体力が落ちている人が多く、産後の回復も遅くなる傾向があります。
高齢で妊娠が成立したからといって、妊娠が継続し、赤ちゃんが無事に生まれてくるとは限らないのです。

高齢出産のよいところ

高齢出産ではリスクがクローズアップされがちですが、実際にはポジティブな要素もあります。

  • 人生経験がある分、精神面のゆとりがある
  • 経済的な余裕がある場合も多い
  • 若いうちに自分のやりたいことを満喫しているため、子育てに情熱を注ぎやすくなる

さらに最近の研究では、高齢出産した女性は長生きする傾向や子宮体がんのリスクが低下するという、科学的なメリットも報告されています。

高齢出産のリスクは下げられる?

母体にも生まれてくる赤ちゃんにもリスクがある高齢出産。
しかし、無事妊娠できたのなら少しでもリスクを減らし、元気な赤ちゃんを生みたいですね。

過度に神経質にならないよう、以下のポイントに気をつけましょう。

  • 妊婦健診で医療機関のサポートを受ける
  • 妊娠前から葉酸やオメガ3の積極的な摂取を心がける
  • レトルト食品・ジャンクフードを避け、栄養バランスの取れた食事をとる
  • 十分な睡眠時間を確保し、規則正しい生活を送る
  • 適度な運動やストレッチで体力を維持
  • 仕事や家事の負担はできるだけ減らす

リスクを正しく認識した上で、自分でできるリスク回避を行うことが大切です。

まとめ

今、キャリア女性に知ってほしい「不妊治療」と「高齢出産」にクローズアップしました。

一般的には20~30代前半が適齢期といわれている妊娠・出産。しかし、キャリア女性にとって、“子どもと仕事の両立”が、35歳までの自然妊娠を見送る要因の1つとなっています。

そんな中、日々進歩する生殖補助医療は不妊に悩む方や高齢出産に臨む方の希望となっています。法改正により金銭的なサポートも受けやすくなり、ますますハードルは下がっていくでしょう。

ですが、生殖補助医療の助けを借りても、欲しいと思ったときに必ずしも授かるものではありません。不妊治療でいちばん大切なのは1日でも早く治療を始めることです。
ご自身の妊娠・出産について、パートナーや周りの大切な方々と一緒に考えるきっかけとなればうれしいです。

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