頭スッキリで効率アップのためのヘルスケア。毛細血管のゴースト化とは?
毎日育児に仕事に一日中フル稼働で頭を使っているみなさんは「育脳」について考えたことありますか?赤ちゃんや子供については小さいころからの「育脳」が大切。と聞いたことがあると思います。
大人のための「育脳」とはどんなことでしょうか?「脳トレ」ゲームなども一時期流行りました。「脳が健やかであること」とは、そして記憶力と集中力に優れ、日々様々なタスクをこなしていけるスッキリとした脳。そんな頭脳へ「育脳」するカギは毛細血管にあります。このコラムではわたくし、漢方専門医の松本有記が日頃気を付けるべき生活習慣も含めて、「育脳」のための毛細血管についてお話したいと思います。
ところで血管といえば、大動脈など太い血管を思い浮かべるでしょう。しかし私たちの体内の血管の99%が毛細血管であることをご存じでしたか?しかも全ての毛細血管を1本につなげると「地球2周半(約10万km)」もの長さもあるのです。
目次
ヒトの脳は高性能のコンピューター
そもそも血管の役割はみなさんご存じの通り、からだの各臓器や細胞に酸素や栄養を渡し、不要になった老廃物を受け取り排出するための運搬役。からだ全体で使う酸素消費量のうち、脳だけでその20%をも使用するほど酸素が必要な臓器です。日々考えたり、記憶する事、さらにからだの司令塔として様々な臓器と連携し機能させる事に20%も酸素を消費するなんて想像もつかないですが、それだけヒトの脳は高性能のコンピューターのようにパワーを必要としています。つまり毛細血管はそのライフラインなのです。
もしパワー供給元である毛細血管に異常が起きてしまったら、それは脳だけでなくからだの隅々にトラブルが発生するのは容易に想像がつくでしょう。
毛細血管は老化とともにゴースト化してしまう
「最近物忘れが多くなったな…」「昔より記憶力が落ちたな…」なんて心当たりはありませんか?実はそれは老化によって毛細血管が減少しているサインです。ここでいう「減少」とは、加齢やストレス、生活習慣の乱れによって、機能が低下または機能しなくなった毛細血管のこと、つまり正常な毛細血管が減り、ゴースト血管が増えてしまうことです。
毛細血管は30代から徐々に壊れ始め、40代なかばから活動していないゴースト血管の量が急激に増え始めます。60代では20代の若い頃に比べると30%減少、70代では40%も減少してしまいます。毛細血管が少なくなればなるほど、からだの隅々まで血液が行きわたらなくなり、からだ中の細胞が酸素と栄養不足に陥って細胞の老化がさらに進みます。
ゴースト血管が脳に与える影響は思考や記憶だけでない
脳内の毛細血管が減ることで、記憶力が落ちるだけでなく、自律神経にも大きな影響を及ぼします。自律神経とはからだを正常に動かすためのいわば中枢システム。呼吸や消化、免疫、代謝、排泄、感情の変化までもコントロールしています。ここ一番!というときのやる気を起こさせてくれるのも、自律神経の働きです。自律神経が乱れると疲労感、頭痛、体温の異常、睡眠の異常、動悸や胃腸の不良、皮膚のかゆみ、関節の痛みなど、個人差はありますがまさに全身に支障をきたす可能性があります。
クリアな脳はクリアな視界にもつながる
眼球と脳はつながっているため、毛細血管のゴースト化によって視界のクリアさにも影響が出てきます。目が見えにくくなってくると思考力も低下してしまうのです。歳を取ると目が悪くなるのは毛細血管の老化が原因です。
わたしたちが意識せずとも、脳は眼の網膜で見えていない部分を補って像を作っています。しかし歳をとるとともに毛細血管が壊れてゴースト化することで、眼の網膜に届けられる栄養が減ります。さらに網膜は他の臓器に比べて紫外線のダメージも受けやすくいことで、さらに網膜の細胞が衰え、若い時ほどクリアに物が見えなくなります。眼の毛細血管をゴースト化から守ること、そしてサングラスをするなどの紫外線対策も大切です。
ゴースト血管は美容にも悪影響
毛細血管のゴースト化は人それぞれのペースで進みます。同じ年代なのに「若々しく見える人」「老け顔に見えてしまう人」その違いは毛細血管のゴースト化の進行度合いの差であると言えます。
顔はたくさんの毛細血管が集まる部分。毛細血管がゴースト化してしまうと、肌のハリや弾力を作るためのコラーゲンやエラスチンなどの栄養が行き届かなくなり、シワやたるみの原因になり老け顔になってしまうのです。
それでは育児に仕事にたくさんのパワーを必要とする皆さんはどのように脳をクリアに保ち、若々しく保ち続けることができるでしょうか。
血流を改善すればゴースト化を食い止められる!
ゴースト化が進行すると毛細血管が消えてしまいます。一度消えてしまった毛細血管を元に戻すのは非常に困難です。そうなる前に血流を改善すればゴースト化を食い止め、毛細血管としての機能を回復させることができます。
ゴースト血管を増やさない生活習慣チェックリスト
- 食べ過ぎない:未消化物が負担になる。
- 血糖をあげない:砂糖の摂りすぎ注意。パンなどの小麦よりもお米の方が、血糖上昇
がゆるやか。 - 血流をよくする:ふくらはぎの大きな筋肉を使ってストレッチすることを心掛けて。
- 良質なオイルを摂ること:脳や細胞膜の主成分は脂質 サラダ油やマーガリンは摂らな
いこと。特に低温圧搾で作られたオイルを積極的に摂ること。 - 良質な水を飲むこと。
- バランスのとれた食事:抗酸化作用のものを積極的に摂る。
- 良質の睡眠をとる:睡眠中は傷付いた毛細血管の修復時間。
- 入浴する:原則として日常生活で体を冷やさないよう心掛ける。